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あさくさふどき

浅草風土記

久保田 万太郎

雷門以北「東京日日新聞 夕刊」1927(昭和2)年6月30日~7月16日<br>吉原付近「中央公論」1929(昭和4)年2月<br>続吉原付近「中央公論」1929(昭和4)年3月<br>隅田川両岸「中央公論」1935(昭和10)年9月<br>浅草田原町「三田文學」1912(明治45)年2月<br>あやめ団子「花形」1920(大正9)年8月<br>相模屋の路次・浅倉屋の路次「新演藝」1920(大正9)年8月<br>浅草の喰べもの「中央公論 夏期特別號」1920(大正9)年7月<br>夏と町々「時事新報 夕刊」1929(昭和4)年6月1日~30日<br>絵空事「新潮」1932(昭和7)年3月<br>一年「東京新聞」1946(昭和21)年4月15日<br>浅草よ、しずかに眠れ「苦樂」1948(昭和23)年2月<br>夜店ばなし「婦人公論」1931(昭和6)年7月<br>除夜「週刊朝日」1930(昭和5)年12月28日號<br>正月「婦人公論」1932(昭和7)年1月<br>水の匂「文藝春秋」1941(昭和16)年7月<br>町々…… 人々……「別冊文藝春秋」1955(昭和30)年2月~6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,294 字 · 318 页

青空文庫

カツ・テキ・ハヤシ……

一

来月は、もう、お酉さまです。(ことしは朔日が一の酉にあたります)お酉さまがすぎれば、すぐ、もう、観音さまの市です。

御健康をお祈りいたします。

十月十二日

友治”

……そうか、広小路に植わっている木は、すずかけだったのか?……と気がついたとき、同時に、

――三年一ト変り、三年一ト変り……

とわれ知らずつぶやく自分を、ぼくはみいだしたのである。

カツ・テキ・ハヤシ……

一

「浅草広小路」を書いたあとで、ぼくは、旧友、鈴木友治君と、内野良男君とに逢う機会をえた。

鈴木君については「浅草広小路」のなかにしるした。内野君というのは、嘗て、「雷門以北」のなかに“……薬種屋の赫然堂あって、いまなお、あたまの禿げた主人が家伝の薬をねっている”と書いた、その赫然堂の二番目の息子さんで、いまでは店を止し、神田のほうの大きな製薬会社の宣伝部長をしている紳士である。お父さんにわるいところが似て、まだ四十代であろうのに、すッかり、もう、つるつるに禿げているのが、ぼくにとっては、今昔の感に堪えなかった。

で、この二人の旧友に逢って、ぼくは、嘗ての“浅草広小路”が、いかにおおくの稲荷の祠をもっていたかということをおもいださせられた。