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げんだいゆいぶつろんこうわ
現代唯物論講話
戸坂 潤
「現代唯物論講話」白揚社、1936(昭和11)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 251,295 字 · 490 页
日常的空間概念の Da- 性格は、特有な客観性であった。吾々はここに例えば人間学的な存在(Dasein)――ハイデッガー――などを考えていけない、それならば或る意味で主観的であるかも知れない。吾々の云うのは却って特有な――それは空間自らが説明する他はないが――客観性を指す。それは主観の外に、主観と独立に、在る特有な在り方を指す。こういう客観性をもつものを吾々は、最も含蓄ある意味に於て物質――哲学的物質・質料――と呼んでいる。哲学的物質とは、或る何かの特別な存在の名ではなくて、存在者一般を、又存在するということ・存在性そのもの・を云い表わす。吾々は日常生活に於て、実際こういう物質をたよりにして生活している。無論人々が原子の構造や物理学的な物質理論に通じなくても、人間は今云ったこういう物質にたよって実践生活を営むことが出来るのである。日常的空間はその場合の実践の場面の他ではない。日常的空間の概念はこの意味で物質(哲学的物質――必ずしも物理学的ではない)に就いての一つの概念である。Da- 性格はここから来たのである。
日常的空間に於ける Da- 性格――物質性――から、やがて云わばその背後にある空間自体の性格にまで溯源出来る。