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げんだいゆいぶつろんこうわ

現代唯物論講話

戸坂 潤

「現代唯物論講話」白揚社、1936(昭和11)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 251,295 字 · 490 页

青空文庫

七 生物学論

一 序論

――弁証法的唯物論は、方法の名であると共に世界観の名でもあることを、最後に注意しておこう。

七 生物学論

一 序論

生物学が何であるかを最も好く知っている者は、云うまでもなく生物学者自身でなければならない筈である。凡そ生物学に限らずどのような科学乃至学問に於ても、実際にそれに従事して初めて、その科学乃至学問が何であるかを実質的に理解出来るわけであるからだ。それに違いはないのであるが併し、生物学が恰も一つの特殊分科の学――その意味で正に一つの科学――であるという事実を、忘れてはならない。専らそのような或る一定特殊の分科領域に向かってその関心を集中すればこそ、その人々は生物学者の名を持つのである。従って、生物学者の視界は、例えばその問題乃至問題提出の仕方・問題解決の方法・其の他は、少なくとも彼が生物学者としてである限り、一定の限界の外へ出ることが出来ないように出来ている。無論この宿命は、そのものとしては、少しも非難に値いすることなのではない。併しこの宿命に伴う可なり必然的な弊害は、生物学者が、生物学と他の諸学問との間に横たわっている必然的な連関の吟味を、忘れ勝ちになるということである。