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げんだいゆいぶつろんこうわ

現代唯物論講話

戸坂 潤

「現代唯物論講話」白揚社、1936(昭和11)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 251,295 字 · 490 页

青空文庫

二

又抑々弁証法それ自身は何であるのか。そう云った範疇の分析が何よりもの問題となる。

吾々は弁証法的唯物論の「哲学的基礎」として、物質と模写との概念に限って、範疇論を要素的に展開して見よう。

二

第一に物質とは何であるか(以下(二)・(三)・は一、「物質の哲学的概念」と多少重複する処があるかも知れない)。

わが国で物質と訳されているものは Materie 又は Stoff である。哲学史に於てはこの二つの言葉は様々な内容を盛られて来ているが、物質という至極ポプュラーな概念になったのは決してそれ程古いことではないので、恐らく十八世紀のフランス唯物論者の啓蒙的活動の結果だと云って好くはないだろうか。従ってこの言葉が主として生理学乃至物理学で云う物質――そういう自然科学の範疇としての物質――を何より先に思い起こさせるという事情は、無理ではない*。更に之が坊間の日常語としては、欲情や所有物や金銭を意味するようになったことには、充分な理由があり、そして実際又、之を蔑視して使っている人達自身も意識していないような、一定の意義がそこに蔵されてもいるのである。

* L. B※(ダイエレシス付きU小文字)chner の Kraft und Stoff (1855) は非常に沢山読まれた書物で、この「シトッフ」