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げんだいゆいぶつろんこうわ

現代唯物論講話

戸坂 潤

「現代唯物論講話」白揚社、1936(昭和11)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 251,295 字 · 490 页

青空文庫

だから単に転回にカントは興味を有ったのではなくて、実験的精神に基いた結果転回が敢行されたという点に要点があるので、カントはそこでガリレイ(実験自然科学の代表的な始祖)を引用しながら、自分の転回がコペルニクス的である所以を説明している。

で、カントからドイツの「自由の哲学」が始まるのではあるが、カント自身(この卓越した包括的な着実な文明批評家)は、正当にも近代資本主義の生み出した認識手段たる実験の精神によって貫かれていたことは、特に注目に価する。之は哲学の生産技術に対する意義を、やや約束しているものだったと見て好いだろう。処がフィヒテの手によってカントの古典哲学が本当の観念論的自由哲学に翻訳されて以来、自由の哲学は生産技術と永遠に敵対関係に立たされて今日に至っている。

ドイツ・ナチスの国粋哲学がフィヒテのこの反技術的自由哲学から出発していることは好く知られている(之にニーチェの権力意志の哲学を按配すれば、お好みの取り合わせを有つナチ哲学が出来上るだろう)。ナチスの国民精神哲学は「唯物論」を征服するために適宜のように編成されており、又いつでも適当に編成出来るのである。