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げんだいゆいぶつろんこうわ

現代唯物論講話

戸坂 潤

「現代唯物論講話」白揚社、1936(昭和11)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 251,295 字 · 490 页

青空文庫

処がこのドイツ国産哲学の原則がそのままわが国にも輸入されて、わが国の国粋哲学となっていることは、国粋の名に於て、可なり皮肉な現象だと云わねばならぬ。この国では国民精神の哲学は、外来思想「唯物論」を征服するために、急遽編成に着手されつつあるのを読者は見るだろう。ナチ哲学プロパーをめぐる半ばナチス的なドイツ精神哲学(Geistesphilosophie)は、ドイツ国粋哲学の先発隊として、すでにわが国に渡来して出立の準備を完了しているように見受けられる。ハイデッガーがわが国に広く紹介されたのは五六年程前だが、今はこの哲学は色々な形で益々多数の哲学ファンを引きつけつつあるように見受けられる。

わが国のこの唯物論反対哲学が、如何に技術反対哲学(Antitechnismus)であるかは、どの国粋哲学・どの精神哲学・の体系を取って見ても、すぐ判ることで、今茲に一々取り立てて述べる必要はないと思うが、その最も端的な症状の一つとしては、国粋哲学がわざわざわが国の生産技術一般の最も未発達な段階に社会構成の原則を求めようと欲したり、又現在では最も技術的に後れている生産部面である農村に社会の典型を求めたりしようとする、各種の農本主義に帰着するのを見るが好い。