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げんだいゆいぶつろんこうわ

現代唯物論講話

戸坂 潤

「現代唯物論講話」白揚社、1936(昭和11)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 251,295 字 · 490 页

青空文庫

に期待しているのだが、道徳的行為としては人間は何かの条件の下に常に協和的でなければならぬ。人間と人間とを本当に対立矛盾させるものは、人倫や道徳の内にはなくて社会の物的機構の内にあるのだから。

単に、無媒介者をも無媒介者として絶対的に媒介するということだけが強調されて、絶対的媒介と雖も絶対的無媒介者にぶつかるという場合のスリルを、後ろにかくして了っているということが、この絶対媒介なるものの一つの根本特色なのである。つまり、媒介が媒介自身に於て完了出来るようなアウトノミーを有っているかのように絶対化されることが、絶対媒介という観念の勘所なのだ。媒介が本当に論理の本質的機能ならば、論理が絶対論理として一切の非論理的なものをも論理化して了ったということがあり得ないように、媒介が一切の直接なものを媒介して了ったような絶対媒介というものは、実は媒介絶対主義で、却って無媒介の直接的否定と何の選ぶ処もないだろう。でこうなると絶対的媒介とはつまり折衷主義が絶対化されたようなものに他ならなくなるだろう。

絶対媒介とは、無媒介者をどこまでも飽くまでも媒介せねばおかず又媒介し得るということで、決して一切の無媒介者を媒介して了ったということではないのかも知れない。