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げんだいゆいぶつろんこうわ
現代唯物論講話
戸坂 潤
「現代唯物論講話」白揚社、1936(昭和11)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 251,295 字 · 490 页
自然界はカントによれば、因果的必然性を以て代表者とするような範疇によって構成されている。それに反して道徳の世界は、それ自身が自己目的である所の自由なる人格の結合の世界なのである。併しこう云っただけでは二つの世界は単に独立しているというだけで、両者の結合は明らかにされない。処が実際は自由な人格はこのような自然の必然性の内に生活している。では因果的必然性と自由とはどう関係するか、之が第三批判の課題であったと云っていいだろう。之に対する答えはこうである。自然の必然性が、必然性であることを止めることなくして、而も吾々人格の自由の所産であるかのように考えられねばならない、と。即ち必然性はそのままで自由に対して合目的的な性格を与えられ得ねばならない、と。このように合目的性の問題を提出して之に答えるのがカントのテレオロギー(目的論)であった。
吾々の経験はカントによれば、直観のもつ特殊性が悟性概念(範疇)のもつ普遍性に摂取包含されて成立する。処で一般に特殊を普遍に摂取包含する能力を判断力と云うならば、経験なるものはかかる判断力によって成立すると云うことが出来る。