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げんだいゆいぶつろんこうわ

現代唯物論講話

戸坂 潤

「現代唯物論講話」白揚社、1936(昭和11)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 251,295 字 · 490 页

青空文庫

かの機械的な現象学が、事物を非歴史的に見ねばならなかったのも(吾々の言葉によれば之こそ形而上学的である)、実は茲から来たのであった。であるからそこでは決定とか規定とか云うことが、少しも歴史的な動的決定・規定・を意味し得なかった。明らかに之は唯物史観的方法の正反対である。――唯物史観の弁証法的方法によれば、決定・規定・の概念は歴史的決定・歴史的規定・の概念である。で、それは因果関係でなくてはならぬ。

因果関係は、時間がその内で役割を果す処の特別な関係を云うのであるが、時間が積極的にその役割を果すのは、自然に於てではなくて却って歴史に於てである。だから、因果関係は、自然に取ってよりも寧ろ歴史に取ってこそ固有であるべきだ。この点は注目を必要とする。

社会の下部構造は単に下部にあるもの・上部構造の規定者・ではなくて、上部構造の歴史的原因でなければならず、従って上部構造はこれと同じ意味で、下部構造の歴史的結果でなければならぬ。社会のこういう動的な因果関係の断面が、偶々社会の静止的な構造であった。――之がこの方法の弁証法のモメントに相当する。

次にこの方法の唯物論のモメントに沿うて、規定・決定・の概念を取り上げる。