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げんだいゆいぶつろんこうわ

現代唯物論講話

戸坂 潤

「現代唯物論講話」白揚社、1936(昭和11)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 251,295 字 · 490 页

青空文庫

併しこの共通性は、操作が全く形式的なものに止まっていることから来た結果である。

次に実質的な操作には色々ある。今日の社会科学は之等幾つかのものを或いは適切に組み合わせ、或いはどれか一つだけを使っている。まず一般に社会科学に限らず科学にはどういう操作があるか。

A 概念に於ける分析(数学的解析に対す)。経験された現実(事実)を、表象又は概念を確定することによって分解し再結合(この点では総合と呼ばれる)する操作である。社会科学ではA・スミスの『国富論』、リカードの Principles of political economy and taxation, 哲学ではアリストテレスの『ニコマコス倫理学』とか Politica の如き。自然科学と雖もこの操作がなければ一つの理論も成り立たないことは明らかである。

B 弁証法的操作。概念に於ける分析が特に技術的に具体化されたものがこの操作。科学研究の具体的実行には、いつも弁証法的論理(之こそ本当に方法である)が必要だが、今は操作としての弁証法のことである。哲学に於ける例としてはプラトンの『ソピステス』、ヘーゲルの『エンチクロペディー』