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ささめゆき

細雪

谷崎 潤一郎

02 中巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 194,628 字 · 371 页

青空文庫

「ふん、僕等の見たとこを一と通りは云うたけど、奥畑のことには余り触れとうない様子見えたよってに、そんなに突っ込んではよう云わなんだ。まあ今のとこ、なるべく交際ささん方がええでしょうとは云うといたけど、僕等は結婚さすことに不賛成やとは、云えへなんだ。聞かれたら云うつもりやってんけど、その話になると避けてしまやはるよってに、………」

「啓坊の問題は白紙にしときたいと書いてあるけど、姉ちゃん等、ほんまは啓坊と結婚さしたいのんと違いますやろか」

「そうやろうな。僕もそんな感じ受けた」

「それやったら、結婚問題から先に持ち出した方がええことなかったか知らん」

「どうやろかなあ。それにしたかて、結婚するなら尚更洋行の必要はない、云うことになるで」

「ほんになあ」

「兎に角、そんなややこしい話やったら、こいさんが行って直かに打つかって見ることや。僕はもう御免やで」

と、貞之助は云った。

幸子は、従来から本家に対して雪子以上に悪感情を抱いている妙子に、姉夫婦の意向をありのままに伝えることは一往躊躇したけれども、隠さない方がよいと云う夫の意見もあるので、翌日その手紙を読ませたところ、結果は案じていた通りであった。