轻松读懂日语经典作品
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くしんのがくゆう
苦心の学友
佐々木 邦
「少年倶楽部」1927(昭和2)年10月号~1929(昭和4)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,732 字 · 332 页
「そうさ。首尾よくいったらおなぐさみ」
と照彦様は糸を池の中へ投げた。
「まだですか?」
「いくら名人でもそうすぐには釣れない」
「大きいのがきましたよ」
「おっと、どっこい!」
「どっこいどっこい!」
「大きい大きい」
「ああ、釣れた」
と正三君が飛びたった時、魚が水面へ現れた。照彦様は糸をまきちぢめて、
「万歳!」
と叫びながら築山のふもとに竿をおっ立てた。鯉が一ぴき、五月幟のようにへんぽんとしている。
「万歳! 万歳!」
「これを取るには竿に梯子をかける」
「うそですよ」
と正三君は竿をおしたおした。
日曜の朝、品川の船宿からこぎだした時、
「今日は僕が大将だ」
といって、照彦様は大とくいだった。お兄様がたが来ると頭が上がらないから、単独行動を喜ぶ風がある。正三君は舟に酔うかと内心案じていたが、いっこうにそんなこともなく、
「海はいいですなあ!」
といわゆる天空海闊の心持ちを味わった。
「内藤君、なんともないかい?」
「大丈夫です」
「それはしあわせだ。一々陸地へつけるんじゃたまらないよ」
と照彦様はいかにも大将らしい。
「若様、このみみずは少し違いますね」
と正三君はまもなく餌箱の中をのぞいて疑問をおこした。