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くしんのがくゆう
苦心の学友
佐々木 邦
「少年倶楽部」1927(昭和2)年10月号~1929(昭和4)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,732 字 · 332 页
帽子を拾ってほこりをたたきながら笑っていた。
「なんとかいっていやがる」
「なんでもいいよ」
「喧嘩がこわいなら相撲でこい」
「相撲もきらいだ」
「やい、家来、正三位。おれはきさまに恨みがある。いつかのことを忘れたか?」
「なにを?」
「いつかおれを突っころばしたじゃないか? やる気なら正々堂々とかかってこい」
と堀口生はつめよってきた。正三君は高谷君や細井君の周囲をめぐってたくみによけた。二人とも気をきかしてそれとなく道をふさぐ。しかし堀口生は高谷君と細井君の相応手ごわいことを知っているから、正三君ばかりつけ廻す。その中に正三君は照彦様の後ろへかくれた。堀口生は業をにやして、いきなり照彦様の帽子を払い落した。
「なにをする?」
と照彦様がおこった。
「こうするのよ」
と堀口生は足元の帽子をふんで、
「やい。家来、内藤正三位、きさまは殿様の頭をふまれても、かかってこないのか? いくじなし!」
と正三君をののしった。正三君がかがんで拾おうとすると、堀口生は、
「どっこい」
といって、帽子をけとばした。
「いいかげんにしろ!」
と正三君はわれを忘れて堀口生を下から突きあげた。