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くしんのがくゆう

苦心の学友

佐々木 邦

「少年倶楽部」1927(昭和2)年10月号~1929(昭和4)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,732 字 · 332 页

青空文庫

「それでは畑のあたりに出没してくだすってもよろしい」

「あすこも淋しいです」

「入道がこわがっちゃいけませんな」

「先生、この役は私ごめんこうむります」

「黒須君、これで美事あなたの試胆会がすみました」

「ごじょうだんでしたか?」

「ハッハハハハ」

「しまった。ハッハハハハ」

「ハッハハハハ」

と一同大笑いになった。おやしきの裏は山と畑になっていて、夜は用のないところだからいたって淋しい。先生の黒須さんさえこのとおりだ。安斉先生はここで若様がたのお肝試しをしようというのだ。

若様がたは休暇にはいってから退屈で仕方がない。いろいろと計画を立てていたが、皆安斉先生の反対で実行できないことになるのらしい。この日、昼食のおりもその苦情が出た。

「お母様、鉄砲はどうしてもいけないんでございましょうか?」

と照正様はこの間からのねだりごとをくりかえした。

「来年の五月までお待ちなさい」

「五月になればもう打てません」

「仕方ありませんわ」

「丁年未満でも私の友だちは皆書生の名前で買っています」

「それもゆるさないことじゃございませんが、安斉先生がご承知くださいませんからね」

とお母様もお殿様同様ご子息のことは万事先生まかせにしている。