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くしんのがくゆう

苦心の学友

佐々木 邦

「少年倶楽部」1927(昭和2)年10月号~1929(昭和4)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,732 字 · 332 页

青空文庫

「お母様、鉄砲がイヨイヨだめなら、僕はスキーにゆきたいです」

と照常様が申し出た。

「お父様に申しあげて、安斉先生にご相談いたしましょう」

「先生はだめですよ」

と照彦様がいった。

「なぜ?」

と照常様がきいた。

「僕この間申しあげたんですが、お庭でおやりなさいとおっしゃいました」

「お庭でできるものか」

「それが先生はおわかりにならないんです。雪の降るまで待っていればいいと思うんでしょう」

「なっていないなあ」

「スキーがだめなら、僕は山登りをします」

と照正様はそれからそれと考えている。

「僕もやります。お母様」

と照常様もご執心だった。その外いろいろとご註文が出たが、お母様のご返事は、

「安斉先生にご相談申しあげましょう」

と一々きまっていた。

食後、お部屋へもどる途中、照正様は、

「照常、これじゃ仕方がないぞ」とおっしゃった。

「安斉先生がいばりすぎます。なんでも安斉先生だ」

「主人を束縛する。失敬千万だ」

「わからず屋です。時世おくれです。十九世紀です」

「十八世紀の怪物だろう。実際これじゃたまらない」

「叱るばかりです」

「一つ相談をしよう」

「照彦も呼びましょうか?」