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くしんのがくゆう

苦心の学友

佐々木 邦

「少年倶楽部」1927(昭和2)年10月号~1929(昭和4)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,732 字 · 332 页

青空文庫

「滑稽な奴さ」

「しかし改心はほんとうです。僕はおとといの晩銀座で会いました」

「堀口にかい?」

「はあ。それから昨日の朝、お母さんが僕の家へきました」

「ふうむ」

「堀口はほんとうに改心しているから頼むというんです」

「きみはなんといったい?」

「仲よくする約束をしました。泣くんですもの、お母さんが」

「かわいそうだな。不良は親がたまらないってね」

「しかしあれぐらい後悔していれば大丈夫でしょう。もうわるいことはしませんよ」

「あれから実際よくなった」

「僕は高谷君や細井君にも話して、堀口がもっと勉強できるようにしてやりたいと思っています」

「僕も賛成だ。きみは返事を出すか?」

「もう出しました。年賀状を出したから、僕からもくれといったんです」

「それじゃ僕も出そう」

「若様、ちょっと奥へ伺ってまいります」

「僕もいくよ」

と照彦様がつれだった。

ちょうど奥様とお姫様がご一緒だったので、正三君はお二方にご年賀を申しあげた。奥様はお忙しい中にも、

「内藤さん、照彦はあれから毎日指折りかぞえて、あなたをお待ち申しあげていましたのよ。相かわらず面倒をみてあげてくださいませ」

とありがたいお言葉を賜わった。