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せいねん
青年
「昴」1910(明治43)年3月~1911(明治44)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 123,670 字 · 246 页
「えらいのですとも。君、オオトリシアンで、まだ若いのに自殺した学者があったね。Otto Weininger というのだ。僕なんぞはニイチェから後の書物では、あの人の書いたものに一番ひどく動されたと云っても好いが、あれがこう云う議論をしていますね。どの男でも幾分か女の要素を持っているように、どの女でも幾分か男の要素を持っている。個人は皆M+Wだというのさ。そして女のえらいのはMの比例数が大きいのだそうだ」
「そんなら詠子さんはMを余程沢山持っているのでしょう」と云いながら、純一は自分には大分Wがありそうだと思って、いやな心持がした。
風炉敷包を持った連中は、もうさっきから黒い木札の立ててある改札口に押し掛けている。埒が開くや否や、押し合ってプラットフォオムへ出る。純一はとかくこんな時には、透くまで待っていようとするのであるが、今日大村が人を押し退けようともせず、人に道を譲りもせずに、群集を空気扱いにして行くので、その背後に附いて、早く出た。
一等室に這入って見れば、二人が先登であった。そこへ純一が待合室で見た洋服の男が、赤帽に革包を持たせて走って来た。