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せいねん
青年
「昴」1910(明治43)年3月~1911(明治44)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 123,670 字 · 246 页
十六
あの読んだ時に、女というものの一面を余りに誇張して書いたらしく感じたオオドのような女も、坂井夫人が有る以上は、決して無いとは云われない。
恥辱のペエジはここに尽きる。
己は拙い小説のような日記を書いた。
十六
十二月二十五日になった。大抵腹を立てるような事はあるまいと、純一の推測していた瀬戸が、一昨日谷中の借家へにこにこして来て、今夜亀清楼である同県人の忘年会に出ろと勧めたのである。純一は旧主人の高縄の邸へ名刺だけは出して置いたが、余り同県人の交際を求めようとはしないでいるので、最初断ろうとした。しかし瀬戸が勧めて已まない。会に出る人のうちに、いろいろな階級、いろいろな職業の人があるのだから、何か書こうとしている純一が為めには、面白い観察をすることが出来るに違いないと云うのである。純一も別に明日何をしようという用事が極まってもいなかったので、とうとう会釈負けをしてしまった。
丁度瀬戸のいるところへ、植長の上さんのお安というのが、亭主の誕生日なので拵えたと云って赤飯を重箱に入れて、煮染を添えて持って来た。何も馳走がなかったのに、丁度好いというので、純一は茶碗や皿を持て来て貰うことにして、瀬戸に出すと、上さんは茶を入れてくれた。