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せいねん
青年
「昴」1910(明治43)年3月~1911(明治44)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 123,670 字 · 246 页
「甲らばかりでは無い。全身の弾力を保存しようという問題になるね。巴里の Institut Pasteur に Metschnikoff というロシア人がいる。その男は人間の体が年を取るに従って段々石灰化してしまうのを防ぐ工夫をしているのだがね。不老不死の問題が今の世に再現するには、まあ、あんな形式で再現する外ないだろうね」
「そうですか。そんな人がありますかね。僕は死ぬまいなんぞとは思わないのですが、どうか石灰化せずにいたいものですね」
「君、メチュニコッフ自身もそう云っているのだよ。死なないわけには行かない。死ぬるまで弾力を保存したいと云うのだね」
二人共余り遠い先の事を考えたような気がしたので、言い合せたように同時に微笑んだ。二人はまだ老だの死だのということを、際限も無く遠いもののように思っている。人一人の生涯というものを測る尺度を、まだ具体的に手に取って見たことが無いのである。
忽ち襖の外でことこと音をさせるのが聞えた。植長の婆あさんが気を利かせて、二人の午飯を用意して、持ち運んでいたのである。
二十一
食事をしまって茶を飲みながら、隔ての無い青年同士が、友情の楽しさを緘黙の中に味わっていた。