轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

せいねん

青年

森 鴎外

「昴」1910(明治43)年3月~1911(明治44)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 123,670 字 · 246 页

青空文庫

「直ぐに人が真似をいたしはしませんでしょうか。戦争の跡に出来たロシア麪包のように」

「吾輩専売にします」

「生きた物の専売がございましょうか」

「さあ、そこまでは吾輩まだ考えませんでした」岡村は又笑った。そして言い足した。「とにかくうるさい奴ですよ。大抵篝に飛び込んで、焼け死んだ跡が、あれ程遣って来るのですからね」

「ほんとにあの篝は美しゅうございましたわね」

純一ははっと思った。この「美しゅうございました」と云った過去の語法は、二人が一しょに篝を見たのだと云うことを irrfutable に証明しているのである。情況から判断すれば、二人が夏を一しょに暮らしたと云うことは、もう疾っくに遺憾なく慥められているのであるが、純一はそれを問わないで、何等かの方法を以て、直接に知りたいと、悟性を鋭く働かせて、対話に注意していたのであった。

純一の不快な心持は、急劇に増長して来た。そしてこの席にいる自分が車の第三輪ではあるまいかという疑いが起って、それが間断なく自分を刺戟して、とうとう席に安んぜざらしむるに至った。

「僕は今夜はもうお暇をします」純一は激した心を声にあらわすまいと努めてこう云って、用ありげに時計を出して見ながら座を起った。