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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页
と一種の蔑視的な呼び名がつけられている鋳物屋という自分の商売を誇りにしているわけではなかったが、自分の腕を息子に残しておきたかったのだ。自分の腕には誇りを持っていた。
俺を中学へやってくれたのは、次男の俺は「砂むぐり」がいやなら、ほかの商売をやれというところだろうが、思えばおやじの温情をむざむざと裏切った俺なのである。
工場をのぞいた俺は、兄貴の五郎が、俺の子供のときから顔馴染のスミタキ(熔解工)のじいさんと一緒に、コシキの側でセンドメをやっているのを見た。熔解炉から流出する湯の調節をやるのがセンドメの役である。俺の顔を見た兄貴は、おやじとちがって、
(おお、来たか)
と、なつかしそうな微笑を送ってくれた。
ここらで鋳物をつくる段どりを、ちょっと説明しておこうか。今の言葉で言うと生産工程、これは四つに分れている。
砂の鋳型をつくるカタゴメ――この作業が第一工程で、鋳物の原型をカナワクのなかに入れ、そのまわりに砂を詰めて、その原型を取り去ったのが鋳型である。その鋳型へ、地金を熔かした「湯」を注入するのだが、その前に第二工程として「湯」をつくる熔解作用がある。