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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页
第二章
その一 投爆者
クララの場合は、顔を見ただけでもすぐゴロマクのが常だった俺のヨシコが、てんで駄目なのだ。おいらんがそのヨシコを、なれた手つきで撫でたりするが、一向にききめがないどころか、むしろ逆である。大年増のくせに真赤なヤチカクシ(腰巻)なんかしてやがって、それも逆効果だった。
「兄さんたら、お若いのに、どうしたの」
そんなことを言われると、いよいよあせってきて、駄目である。相手に恥をかかしちゃ悪いと思うと、よけい、いけない。親切は親切なおいらんだったが、サービスされると、いよいよいけない。てんでアイカギが合わせられない。
「どうしたんだろうな、酔いすぎたかな」
「兄さんは、これでオトナになるのよ」
慰めるように女は言った。
「俺はもうオトナだい」
「ほんとのオトナになるのよ。そんときに、いっぺんは、こういうことがあるものらしいわ」
「そうか。ほんとのオトナになるのか」
――この夜から、ふたたび俺の運命は狂いはじめたのである。
第二章
その一 投爆者
斎田慷堂の家で会った北槻中尉と俺は同志のつきあいをはじめたのである。慷堂がその仲立ちをしてくれたことは言うまでもない。
北槻中尉と俺とを慷堂はかねて「仲良くして見せる」