轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

いやなかんじ

いやな感じ

高見 順

「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页

青空文庫

「そんなことはない」

「ほんと?」

こっちこそ、ほんとかいと聞きたいところだったが、女の顔は真剣だった。

「兄さんみたいな人なら、きっと、あたしを貰ってくれると思った……」

俺の商売は文士――三文文士ということにしてあった。

「みたいなとは、なんだ」

「ごめんなさい」

女は木枕に手をやって、

「あたし、畳屋さんから後妻にって、話がかかってるんです」

「畳屋……?」

「どうしたらいいかしら」

俺は死ぬ身だ――だが、そうは言えないで、言葉を探していると、やり手婆あが部屋の外から声をかけた。客が来たのだ。

(ほら、言わないこっちゃない)

そういった顔で、女は上体をおこして、

「兄さん……」

と俺の膝をゆすぶった。

俺は床花を、思いきりはずんでいたが、だからマワシをやめろとは言えない。お名ざしで若紫を買いに来た客が登楼した以上、ここのしきたりとして、顔出しをしないわけにはいかない。行っといでと俺も言わざるをえない。

「兄さん。早く……」

早いとこ、チュウコをしようとうながすその女の手が、俺の膝から股倉にすべってピストルに当った。モキ(きも)を冷やした女は、火傷でもしたみたいに手を急いでひっこめて、