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いやなかんじ

いやな感じ

高見 順

「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页

青空文庫

前でこりたから将官は避けて、佐官を選んだ。蹶起後の事態の解決にはやはりそれが必要である。そういう見地から、革新的と目される幕僚将校をいわば抱きこんだのだが、抱きこんだと思ったら、どっこい、事実は逆になった。待ってましたとばかりに向うに抱きこまれたようなものだった。階級のやかましい軍隊では、上級将校に逆に指導権を握られて、青年将校は三下の役目をさせられることになった。

だが、その青年将校たちは兵隊を掌握しているのは自分たちだと考えている。いくら幕僚将校が指導者面をしたところで、いざというときに兵隊を動かすことのできる隊付将校たちがいなかったら、何もできはしない。そういう自負から、三下に甘んじていたのだが、上級将校のほうでは、隊付将校に命令さえ下せば、その命令ひとつで兵隊を動員できると考えていた。

この上級将校は満州の関東軍と気脈を通じて、満州事変をおこしていた。三月事件に失敗したときからこれは企てられていたことで、関東軍が中央の後楯を頼んで事をおこしたと言いかえてもいいが、彼らはひとしく軍独裁政権の樹立をねらっていたのだ。三下としての隊付将校たちは、そうした野望に利用されていたのだとも見られる。