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いやなかんじ

いやな感じ

高見 順

「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页

青空文庫

そうした希望的観測からか、今度は不発に終ることはないだろうとも思った。と言うのは――純粋な、それだけにいわば子供っぽい正義感なんかより、醜悪な野心や権勢欲がそこにからんでいたほうが、むしろそれが強い実行力として作用するにちがいないからだ。野心がこの計画をしゃにむに実行させるだろう。俺はそう確信した。隊付将校も全部が全部、そっぽを向いたというわけではない。

急遽、俺は丸万を訪れた。計画の大要を丸万に打ちあけた俺は、蹶起に呼応する形で今こそアナーキストの立ちあがるべき時だと説いた。

「武器爆薬は俺が軍から取ってきてみせる」

「ヤマアラシ(暴動)か」

「ボルの奴らがもし出しゃばってきたら、ひっつかまえて銃殺だ」

「そいつは痛快だ」

と丸万は手をたたいたが、

「そいつは四郎さん、痛快にはちがいないが、まごまごするとファッショの手助けをすることになりゃしないか」

「逆にこっちで利用するんだ」

「錦旗革命を黒旗革命にもってこうと言うのか」

それにはまだ自分たちの力が弱いなと丸万は顔をしかめて、

「砂馬さんはなんて言ってた」

「これは丸さんだけにしか打ちあけてない。みんなに知らせて、事前にばれたりしたら、おしまいだ。