轻松读懂日语经典作品
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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页
焼豆腐はカステラと、しゃれて言った。
愛嬌のある隠語では、豚とジャガイモの煮つけがガクタイ。トンジャガだから楽隊なのだ。大根と豆の煮つけが、コドモのオモチャ。豆鉄砲から来たのだろうか。野菜の煮つけはアキタ。食いあきたのアキタなのだ。繊切大根のことは南京ソバと言ったり、五条橋と言ったり――五条橋で弁慶が千本の太刀を奪い取った故事から来た隠語である。
オカズの隠語は新聞で、
「今日のシンブンはなんだい」
「控訴院だ」
ニシン(二審)のことだ。二審は昔、控訴院でやったからだが、こうしたホンムシ(刑務所)での隠語が、カリムシ(留置場)でも使われていたのだ。カリムシに放りこまれた俺は――暴動の、流血の夢想がついえた俺は、こんな呑気な話とはおよそ反対の心境だったのだ。留置場の壁に自分で頭でもぶっつけて、自分自身が血まみれになりたい、そんなヤケクソの気持だったが、そんなヤケクソには、いっそこのバカバカしいオカズの話が案外合っているかもしれないのだ。
菜葉のことはメジロと言いました。はい、それはメジロのエサってことでした――これだって、なんだかヤケクソみたいな感じじゃないか。