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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页
ジナイーダは法廷で死刑宣告を受けたとき、自分たちをテロリストにしたのは誰か、テロリストにならざるをえなかったのだと叫んでいる。残忍な弾圧が、テロリストを生んだのだ。弾圧におびえた大衆の無気力もテロリストを生んだひとつの原因だが、いかにむごたらしい弾圧が行われたかは、クロポトキンの『ロシアにおける白色テロル』のなかに詳しく書かれている。これは国外へのアピールとしてクロポトキンの書いたものだが、その序文はこういう言葉ではじまっている。
「ロシアにおける現状は全く絶望的であって、この国民の前にこれらの状態に関する記述を発表して、自由と進歩のすべての愛好者に、目下政治的自由獲得のためになされつつある闘争に対する道徳的援助をまじめに訴えるということは、公けの義務である」
「絶望的」な白色テロルが「政治的自由獲得のためになされつつある闘争」をテロリズムへと追いやったのだ。赤色テロルを生んだのは白色テロルにほかならないのだ。クロポトキンは序文の終りに「かかる白色テロルは、先世紀の二十年代ブルボン家再興後のフランスにおいて、一八五九年のイタリーにおいて、のちトルコにおいて見たように、決して国に静穏を回復しなかったことを、歴史からよくこれを知ることができる」