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いやなかんじ

いやな感じ

高見 順

「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页

青空文庫

と相手の鋭鋒をそらした。

「ですから、倒さねばならんです」

と力む相手に、

「わしは彼らのように天皇陛下を自分らのために利用するというような……」

「そんな畏れ多い……」

「……考えじゃない。じゃないが、君らともすこし考えがちがうかもしれん。そのちがう点で、君らがわしと、たもとを分つことになっても致し方ない。君たちは帝国軍人として陛下につかえている身だ」

「そうです。自分らの軍隊はお上の軍隊で、日本国民の軍隊ではないのです」

俺は、ヘーンと眼を丸めて聞いていた。俺は軍隊にはいらなかったが、はいることを断られたが、はいると、こんな教育をされるのだろうか。

「だが、君、その軍隊は国民から召集された兵隊だ。その兵隊を君たち将校があずかっているわけだ」

俺はこの慷堂がなんで食っているのだろうと、そんなことが改めて気になった。それは俺がどこかへリャクに行こうと思っていたからである。行かないと食えないからである。どこへ行ったものか。俺がもとよくリャクに行っていた会社はもう顔がききそうもない。とりあえず玉塚英信のところへでも借金に行こうか。

「君たちは兵隊の生命をあずかって、その生命を国のために捧げさせるのだが……」