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いやなかんじ

いやな感じ

高見 順

「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页

青空文庫

俺はすこしもそれを恥ずべき醜行とは考えなかった。

砂馬のあの悪遊びだって、旧道徳の眼からすれば、破廉恥極まるものかもしれないが、あれを俺は、旧道徳にくみして、指弾することはできないのだ。砂馬の場合は特に、心中に欝積したものを、ああしたことで吐き出したいとしている気持は俺によく分るのだった。分っていながら、花札の科白じゃないが、俺がおりたのは、言ってみれば俺の若さのせいだった。クララへのひと目惚れということも、もちろんあったが、それがつまりは若さなのだ。

今のままで行くと単なるリャク屋になってしまう――と丸万に指摘されるまでもなく、誰の眼にもそう映じていたあの砂馬は、自分でもそのことをはっきり感じていたにちがいないのだ。自分自身、やり切れない気持だったろう。そこで、大会社からリャクでせしめた不潔な金を、不潔な遊びで費消せずにはいられなかったのだろう。

だが、砂馬の心中のもたもたは、それだけのことではないのだ。あの砂馬は当時の言葉で言えば「純正アナーキスト」をもってみずから任じていたのだ。

アナ系の組合に関係していた俺などとちがって、この「純正アナーキスト」