轻松读懂日语经典作品
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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页
うるさくて寝てられやしない。気の毒なので明らさまにそうは言えないが――そんな声で、もう一度、
「あーあ」
屑鉄屋がこのとき、
「えらい、すんまへん」
とあやまった。それが妙におかしかった。大阪弁が俺におかしく聞えたというだけではなく、真実おどけた声なのだ。おどけた声で人の怒りをそらせようとしているのであり、苦しみの最中でも、おどけて見せるしぶとさがそこにあった。
あくどい稼ぎをやりに行くのも、楽じゃないねと俺はからかってみたかった。だが、この俺だって、屑鉄屋に劣らぬあくどさかもしれないのだ。楽じゃないは、ひとごとではないのだ。上海へ行って、さて、どういうことになるのか。楽じゃないのは、むしろこの俺のほうかもしれないのだ。
翌日はうそのように海が凪いで、船は昼ごろ、揚子江にはいった。はいったと人に知らされて、初めてそうと知ったのである。
それほど、この揚子江は俺たち日本人の知っている川というものとはまるでちがった大きさだった。俺たちの持っている川の概念と言うか、常識と言うか、それが全く当てはまらないのであって、河口にはいったと知らされても、まだ海上にいるかのようだった。