轻松读懂日语经典作品
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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页
紛らわしいのが実際にいたのだから、しようがない。
俺を訪ねてきたのなら、フロントに――いや、帳場に言えばいいのに、俺の出てくるのを待っていた。そのロクに、俺はいきなり言った。
「矢萩の大将に言いつかって来たな」
「あたしの顔を見ると、四郎さんはすぐ怒る」
ロクは媚びるように言った。
「怒りゃいいかと思ってる」
「大将は怒ってるだろう」
「怒ってやしません」
ロクは眼をキョロキョロとあたりに放っていた。ほかの奴を誰か待っているふうでもあり、俺と一緒のところを誰かほかの奴に見られまいと警戒しているふうでもある。
「そいじゃ、喜んでるか」
「喜んでもいません」
「そりゃ、そうだろう」
上海に来た俺は砂馬のところでワラジをぬいだ形だ。
「近いうち挨拶に行く――そう言っといてくれ」
矢萩に会う前に、俺は照子に会っておきたかった。外に出ると、ロクがついて来て、
「どちらへ?」
「聞かなくても、お前さんのことだから分ってるだろう」
切りこみの深い旗袍をはいた摩登小姐が俺の眼をひいた。太股まで見えそうで、つい眼がその辺へ行く。冬だのに、普通の娘のように外套を着ていない。
「そうそう、お前が言ってた、俺をバラそうとしている男とは、四・五・六のロクのことだろう」