轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

いやなかんじ

いやな感じ

高見 順

「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页

青空文庫

まるで何事もなかったかのような――その家の、そしてこの道路の表情だ。ほっとした俺は、ありがとうと金原に礼を言って、

「これでもうスコテン(安心)か。よかったな、金原君がいて」

「偶然居合わせてよかった」

と金原はそっけなく言って、

「やっぱり無茶しよる」

「やっぱり……?」

「いや、根室ではあんたもネコをかぶってたが」

俺はこのとき、眼の前に小さなコウモリの群がひらひらと飛んでいるのを見た。子供時分、黄昏の街でよく見たコウモリ、そして魔窟通いのときに眼にした不気味なあのコウモリ。

上海にもコウモリが……? 見すえると、コウモリは姿を消した。おや、おかしい。幻覚かな。俺は顔を手でずるりと撫でおろした。そして眼を開くと、すぐその眼の前を、黒いコウモリがすごい速さで飛び過ぎるのを見た。

俺はぞーっとした。恐怖が俺の血を凍らせた。人を殺した恐怖ではない。むしろ続けて人を殺さないことにはこの恐怖はおさまりそうもない、そんなふうな奇妙な恐怖としてそれは俺に迫ったのである。

「波子……」

「どうした」

と金原に肩をたたかれて、我に返り、

「一度ありゃ二度ある」

「二度あったことは三度……?」