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いやなかんじ

いやな感じ

高見 順

「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页

青空文庫

逞しさへの感歎である。

「すごいね、双方ともに」

これは風巻で、

「将校用ピー屋へ行って、かけあってみよう」

と言った。それは町の反対側にあった。そしてここは、大衆食堂から高級レストランに来たみたいに静かだった。

ここのママさんが若紫なのだった。もしも若紫が兵隊用ピー屋のママさんだったら、俺は会いそこなっていたのだ。

もっとも俺は初め、アッパッパめいた洋装のママさんがあの若紫とは気がつかなかったし、向うでもそうで、

「規則がやかましくてねえ。鑑札を取りあげられたら、ことですからねえ」

と、ママさんを呼び出した風巻に言った。見たことのある女だ。そうだ、若紫だと、さきに気づいたのは俺のほうだった。

「奇遇だな」

若紫じゃないかと言いかけて、

「君、俺の顔に見覚えないかい?」

女郎上りと風巻に知らせることを憚る言い方をした。

「あーら」

と若紫は眼を丸くして、

「四郎さんじゃないの」

「なつかしいねえ」

その俺に風巻が、

「知り合いなのか」

すると若紫が、

「あたしがナカ(吉原)で働いてたころのおなじみさん」

と自分の素姓を悪びれずに言った。人がいいのは、昔と変らないようだ。

風巻のほうが面くらって、俺に、