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イデオロギーがいろん

イデオロギー概論

戸坂 潤

第四章 文化社会学の批判「文化社会学」同文館、1932(昭和7)年4月5日<br>第五章 知識社会学の批判「思想 第101~103号」1930(昭和5)年7月28日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,000 字 · 316 页

青空文庫

そこで例えばブルジョア経済学の最後の穴にまで追い落された形態は、当然にも、所謂数理経済学の如きものとならねばならぬ。この経済学形態――之はオーストリー学派・所謂金利生活者の経済学と不離の関係にある――の要点は、客観的な財や主観的な欲望が数量的に測定出来たり、又之に数学的操作が加え得られたり、又方程式で之の諸関係が云い表わされる、と云ったような点よりも寧ろ、経済関係が経済的均衡として把握されているという点にあるのである。社会諸関係の内から経験的乃至偶然的な――例えば戦争・革命・飢饉・震災の影響・等々の政治的意義をもつ――諸項を捨象し去って、「本質的」な可能性の上での経済的諸関係だけを取り出せば、それは恐らく経済的均衡の外にはないだろう。

経済関係のマルクス主義的・唯物史観的・方法によれば、政治現象は経済的地盤によって終局的に決定されているわけであるから、政治現象は一定の限界に於て、その本質に従っては経済学的に予言され得る筈であった。即ち経済現象はそれだけ政治学的に予言出来るわけである、そうした政治学的予言を含むことが出来るというのが、マルクス主義経済学――弁証法的経済学――が実際に具体的現実に役に立ちつつある主な理由である。