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イデオロギーがいろん

イデオロギー概論

戸坂 潤

第四章 文化社会学の批判「文化社会学」同文館、1932(昭和7)年4月5日<br>第五章 知識社会学の批判「思想 第101~103号」1930(昭和5)年7月28日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,000 字 · 316 页

青空文庫

そこでは生命感が、愛が支配する。だからもはやそこには、論理的な・因果的・直線的・積堆的な・進歩も進化もない。文化は夫々の時代の一定の定位の範囲を限って、その範囲内で作用を有つことが出来るだけである。文明が時代と共に進歩しても、文化は――哲学体系・宗教・芸術等を考えよ――別に進歩するものではない、ただ夫が異った時代の定位に移って、異った作用を有つようになるという迄である。この意味に於て文化は一遍々々完了するものであり、一回的なものである。文化には没落や静止、劇変や改革や復興があるだろう。併し夫には何等の方向も目的もない。だから文化は、本来発見と呼ばれるような働きをする筈がない(発見 Entdecken とは既にあるものを単に顕わにすることに外ならない)。文化は常に創造でなければならぬ、文化は発出・エマネーションである。で、こういう謂わば自由な詩的象徴の世界で人々は、文化の発展の段階の代りに、高々文化の成功不成功・高低・の時代区別をし得るに過ぎないだろう。尤も一見無規則に見える文化のこの運動にも、一定の週期性とリズムとを見出すことは出来る。吾々は諸文化状態を類型化すことが出来るからである。