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イデオロギーがいろん

イデオロギー概論

戸坂 潤

第四章 文化社会学の批判「文化社会学」同文館、1932(昭和7)年4月5日<br>第五章 知識社会学の批判「思想 第101~103号」1930(昭和5)年7月28日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,000 字 · 316 页

青空文庫

だから問題は、ヨーロッパ(及びアメリカ)精神・文化の没落と救済との問題である。――恰も、債務者ドイツの救済は英米仏の又ドイツそのものの資本主義自身の救済であるように。

そこでわが文化社会学はどうなるか、文化社会学は同語反覆的に、文化の――即ち又精神の――没落を喰い止めるべき歴史的使命を負わなければならぬ。併しそのためには、精神――即ち又文化――を、その従来の高踏的な君臨の王座から引き降ろし、之を出来るだけ他のものに対して譲歩させる外に、もはや道は残されていない。そうして後に却って初めて、精神は、文化は、救済され得るだろう。――マックス・シェーラーの「文化社会学」はそこで、恰もこう云った謂わばメシア的予言を背景として現われる。

マックス・シェーラーの文化社会学は、文化に於ける精神が、文化ならぬ他のものに対して譲歩せねばならぬということから、その問題を始める。

彼は人間の歴史的・社会的・生活の内に、実在的要因と観念的要因とを区別する。人間の主体にとって前者に相当するものが生命の根本動力としての衝動――栄養・生殖・権力の――であり、之に反して後者に相当するものが所謂精神である。