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イデオロギーがいろん

イデオロギー概論

戸坂 潤

第四章 文化社会学の批判「文化社会学」同文館、1932(昭和7)年4月5日<br>第五章 知識社会学の批判「思想 第101~103号」1930(昭和5)年7月28日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,000 字 · 316 页

青空文庫

実証科学をそれだけで全体だと見るならば、それは非弁証法的とも考えられる――数学や物理学はその意味で形式論理のものだと考えられる。かくて実証科学は弁証法的な哲学から絶対的に区別されるだろう。之に反して之をそれを含む全体に於て見るならば、実証科学は哲学と同じく弁証法的でなければならぬのである。実証科学の非弁証性は哲学の弁証性の、弁証法的な意味に於ける部分となる。――哲学と科学とはこのような特定な意味に於て弁証法的統一を有っている(自然弁証法が問題になるのは取りも直さずこの点に於てである)。

さてこう考えると、今云って来たような哲学が、恰も形而上学の反対物であることを人々は気付くだろう。何となればこの哲学の性格は弁証法にあったのだから。そこで、吾々は前に宗教・神学を問題外に追放したが、今度は形而上学をも追放しなければならなくなる。形而上学とは、もはや一つの独立な知識の種類ではなくて、弁証法的な知識に対する不完全な知識に過ぎなくなったのだから。今や、形而上学は、もはやシェーラーに於てのように哲学を代表することは出来ない、それは哲学の新しい代表者たる弁証法の反対者として、積極的に追放されねばならなくなった。