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イデオロギーがいろん

イデオロギー概論

戸坂 潤

第四章 文化社会学の批判「文化社会学」同文館、1932(昭和7)年4月5日<br>第五章 知識社会学の批判「思想 第101~103号」1930(昭和5)年7月28日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,000 字 · 316 页

青空文庫

三

彼にとっては、階級の代りに、個人か又は人間一般(社会)かしかない。個人主義化し、やがてコスモポリタン化すということが、人間の精神の発展なのであった。階級の這入る余地はどこに与えられているか。階級的であると同時に超階級的であったコントの知識社会学の矛盾は、このような仕方に於て――階級性を引き去ることによって――誠に能く整理される。イェルザレムの実証主義的知識社会学の承継と復原との秘密は茲に横たわる。

三

コントのイデオロギー論は、プロレタリアに名を借りた処の、ブルジョアジーのイデオロギー論であった。それは恰も、フランス革命が無産者農民を動員して行われた有産者的市民の革命に外ならなかったことに対応する。ブルジョアジーの成熟と共に併しながら、プロレタリアの結束が、プロレタリアのブルジョアジーからの凡ゆる方面に於ける独立が、結果する。ブルジョアジーはその時、この次第に革命的となりつつあるプロレタリアに対抗するために、是非ともみずからの曾ての革命的性格を振り落し、或いは民主主義的、或いは絶対主義的・ファシスト的な変質を遂げねばならない。反抗的であったブルジョア的イデオロギー論も、亦イデオロギー論であることを止めて、単なる知識社会学としてみずからを性格づけねばならなかった。