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ちょうさきかん
中井正一評論集
中井 正一
中井正一『中井正一評論集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:調査機関、図書館に生きる道、図書館の未来像、二十世紀の頂における図書館の意味、脱出と回帰、探偵小説の芸術性、芸術の人間学的考察、美学入門、絵画の不安、スポーツの美的要素。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 129,229 字 · 256 页
前章でのべたギリシャ人のこころがまえは、この考えかたでは、一瞬一瞬が、重いものをささえきって耐えてきたこころもちを表わしている。それに反して、ヘブライ人のこころもちは、どの一瞬もが遠い憧れに向って、はやりたち、燃えあがらんとしているともいえる。
「今」と簡単にいっているこの「今」が、こころの調子次第で、後に向って待ちうけるような「今」と、前のほうに向って出発点となるような「今」と、二つの感じをもっているのである。ちょうど陸上競走でリレーをする時、バトンを渡す人のこころもち、つまり、たどりきたった苦しみを、最後までもちこたえているこころもちの人と、そのバトンを受けとって、今まさにレースコースにつっ走ろうとする人のこころもちでは、同じ白いラインもゴールとしてのラインと、スタートとしてのラインと、二つの意味をもっている。人のこころの姿勢で、同じ一瞬間、すなわちこの「今」でも、二つの調子、リズムとなるわけである。民族の精神の調子が違ってしまうと、その取り扱いかたが違ってくる。
同じ地平線も、重さを耐えて、耐えきった涯の最後の線、ゴールラインとして、ギリシャ人は考えているし、ヘブライ人は、出発の水平、スタートラインとして取り扱っているわけである。