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ちょうさきかん

中井正一評論集

中井 正一

中井正一『中井正一評論集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:調査機関、図書館に生きる道、図書館の未来像、二十世紀の頂における図書館の意味、脱出と回帰、探偵小説の芸術性、芸術の人間学的考察、美学入門、絵画の不安、スポーツの美的要素。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 129,229 字 · 256 页

青空文庫

と捨て去って、幡随院長兵衛のように鎗のふすまの中に、裸一貫でとび込んでいくあの意気、あれが新しき町人の人間像、一つの美の類型となっていくのである。それは赤裸々であるがゆえに、新しく生まれる巨大な、不敵な太さが、そこに現われようとしている。団十郎が、初代から何代も何代もかかって描きに描き次第に大きくしていったあの「太さ」の芸術なのである。あの江戸前の声色の大きさ美しさは、能楽の節廻しにはみられない。町人が武士の前に、あくまで抵抗しぶっつかっていった新しい人間像なのである。ここにも過去の重いものを抜け去り、捨て去る「イキ」として、立派に弁証法的な、ダイナミックな「契機の美」の構造が「意気の美」として現わされているのである。

町人の美、市民のもつ美は、批判の精神、ハムレットの自己に対する批判、ローマン主義のアイロニー(皮肉)やがて、オスカー・ワイルドの『ドリアン・グレイの肖像』などのように、自分と自分の肖像の戦いとなって現われてくるのである。やがてそれはアプレゲールのシュール・リアリズム、あるいはもはや全然肯定のない単なる否定の連続に陥るダダイズムにまでいたるのである。