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ちょうさきかん
中井正一評論集
中井 正一
中井正一『中井正一評論集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:調査機関、図書館に生きる道、図書館の未来像、二十世紀の頂における図書館の意味、脱出と回帰、探偵小説の芸術性、芸術の人間学的考察、美学入門、絵画の不安、スポーツの美的要素。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 129,229 字 · 256 页
創造の愕き
として取り扱っている箇所がある。娯楽が、やがて、存在の内面を掘り下げるにあたって、その象徴的な手がかりとなると考える考えかたの一つの代表である。ソシュールが、彼の言語哲学の構造を、将棋の運用構造に適応してみせていることは、後のカッシラーの『象徴的形式』の考えかたに道を開いている。現象の本質的抽象化として、娯楽の本質を考える道が、哲学的には、一応は可能であろう。
そのすべてが、常に、人間の実生活からの遊離と脱出を、テーマとしていることに変わりはないのである。
創造の愕き
原始人が、獲物を追うて山に入り、渓谷に一やすみしている時、フト、まずその寂けさに愕き、そのもつ弓絃にふれてみて、その音色を静寂の中に聞き入った時、その美しさにさらに驚いたとすれば、この時、彼は、日頃の生活からの最初の脱出をしたことになるというべきである。
この弓絃が、かの巌壁の中で金鵄の命の弾じた五張の弓絃の音階に展開することは、やがて、現代ピアノの絃の構成にまで、永い歴史を貫いて連続しているのである。
生活よりの遊離と脱出としての娯楽が、人間性の回復と追求としての芸術にまで、いかにして連続するのか、この脱出の回帰が、娯楽のもつ問題となってくるのである。