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ちょうさきかん

中井正一評論集

中井 正一

中井正一『中井正一評論集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:調査機関、図書館に生きる道、図書館の未来像、二十世紀の頂における図書館の意味、脱出と回帰、探偵小説の芸術性、芸術の人間学的考察、美学入門、絵画の不安、スポーツの美的要素。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 129,229 字 · 256 页

青空文庫

最も激しい労役の裏にあるものほど諧謔をほしいままにするものはない。なぜならすべて、すべての涙を知りつくしているからである。かかる者の中に涙を表現するものあらば、すべての軽蔑であり裏切りですらあろう。かくて現代のほほえみはその陰に強靱なるものを胎んでいる。そして、前世紀のあらゆるほほえみよりも美わしく、味わっても味わいつくせぬ愛憐を運んでいる。かかる意味の直截と明朗が、音楽のみならず、彫型に、建築に、カンヴァスに滲みいずる。文学も今やその群の一隅にみずからを見いだす。そして、それをしも、人は新しき芸術と呼ぶ。――もしそれが芸術なる言葉を許さるるならば――。

文学のメカニズムを主張する人たちが、よく文学の中に取り扱われる機械性を説く。そして機械文学と名づくる。しかしこれは題材のメカニズムである。文学のメカニズムではない。

むしろ、メカニズムの文学の一つとして、私達は探偵ものを注意すべきであろう。それは構成形式としてのメカニズムである。

私はここにみずから作家であるS・ヴァン・ダインの探偵作家への多くの注意のうち、二、三を顧みて論を進めよう。

彼はいう。