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ちょうさきかん
中井正一評論集
中井 正一
中井正一『中井正一評論集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:調査機関、図書館に生きる道、図書館の未来像、二十世紀の頂における図書館の意味、脱出と回帰、探偵小説の芸術性、芸術の人間学的考察、美学入門、絵画の不安、スポーツの美的要素。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 129,229 字 · 256 页
その秩序、精密な構造を見ているうちに、人間にあるこころもちが湧いてくることになるのである。秩序のもつ美しさにうたれることなのである。それは、考えてみれば皮肉ででもある。例えば人を殺すことの目的でできた刀の中に、いつの間にか、いらだったり、血迷った心を寂めるような感じをもつ秩序と線が、現われたりするのである。つまり、めったに人を切ってはならないという反対のこころを、人間に教えていることになるのである。
やがて、さらに、もう一歩進めて、何に用うるかという用途を離れて、人間が、ただ美しさそのもののみを求めて、新しい秩序を創造してみたいと考えはじめた時、ここに芸術の世界が創られてくるのである。
例えば、弓を射る狩人が、獲物のない渓谷で、絃そのものを弾じて、その音に聞きほれた時、彼は、やがていろいろの弓を何本も集めて弾いてみることを考えつき、やがて、ハープのようなもの、琴に似たものを創りだしたと想像されるのである。そして、それはついに音階の機械としてのピアノにまで到達するのである。音の数学とでもいってよい近代の音楽が、完全に道具の世界から自由になっているのを見る時、もはや、弓絃との関連が考えられないぐらい、自由なものになっている。