轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ちょうさきかん
中井正一評論集
中井 正一
中井正一『中井正一評論集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:調査機関、図書館に生きる道、図書館の未来像、二十世紀の頂における図書館の意味、脱出と回帰、探偵小説の芸術性、芸術の人間学的考察、美学入門、絵画の不安、スポーツの美的要素。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 129,229 字 · 256 页
あのダンテの時代は、中世紀の、今から思えば、政治的に実にばかばかしいことばかりおこなわれていた時代である。ダンテもその愚劣を驚嘆し、嘆いていたであろうが、どうもできず、どうすることもできない自分の愚劣さにも驚嘆し、嘆いたであろう。
一体人間は、二つの魂の誕生をもっているといえよう。世界がこんなに美しく、世の中がこんなに面白いものかと驚嘆する時がある。これが第一の誕生である。そしていつか、それとまったく反対に、人間がこんなに愚劣であったのか、また自分も、こんなに下らないものだったのかと驚嘆し、驚きはてる時がある。これが第二の、魂の誕生なのである。しかし、この時、人々は、ほんとうの人生を知ったというべきであろう。またほんとうの芸術家は、この人生を知る時から、その作風がしっかりしたものとなるのである。
ダンテもこの愚劣きわみなき人生と、愚劣きわみなき自分に驚いて、こんな場面を着想したのではあるまいか。切られた自分の首を提灯にして歩いている、ゾッとするような地獄を書いたのであろう。人々は、この場合を見て、ぞっとするほどの、ほんとうの自分によって切り捨てられたる自分、その首によってのみ、ほんとうの命にふれる自分の運命に面して、戦慄するのである。