轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
にんげんひょう
人間豹
江戸川 乱歩
「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年1~2月、5月~1935(昭和10)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 155,989 字 · 311 页
また別の一隅には、ガラス張りの棚があって、何かの動物の、人間のよりは平べったい髑髏が、三つも四つも、眼の窪にほこりを溜めてころがっているかと思うと、その下の段には、外科医の使うような、無気味な銀色の道具箱が、半ば赤錆びになって、ズラリと並んでいる。ガラス棚の横手には、大きなロクロみたいな器械が据えつけてある。
まるで中世紀の煉金術師の仕事場だ。
部屋のまん中には、村役場にでもありそうな、ニスのはげた机があって、そのかたわらに二脚の毀れかかった椅子がほうり出してある。老人はその椅子に腰かけて、神谷にもかけるように勧めた。
「さア、お掛けなさい。倅も今に帰るでしょう。倅が帰らないと、わしには何もわかりませんのでな。ごらんの通り、こんな研究に没頭しとりますので」
神谷は、もっと奥の方へ踏み込んでみたかったけれど、そうもならぬので、セカセカとまた同じことを繰り返して尋ねた。
「ほんとうにご存知ないのですか。いくらなんでも、同じ家の中に、よその娘が閉じこめられているのを、あなたが知らないはずはないでしょうが」
「え、え、なんとおっしゃる。娘が閉じこめられている? そりゃ何かの間違いでしょう。