轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
にんげんひょう
人間豹
江戸川 乱歩
「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年1~2月、5月~1935(昭和10)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 155,989 字 · 311 页
「どうしようかと思っているのさ。うかつなことをしては、あとが怖いしね」
「でも、それがもしや、あれだったら」ぐっと顔を近づけてささやき声になって「人間豹だったら大変じゃないの?」
ここまで聞けばもう充分であった。明智はいきなり話し手のおかみさんに近づいていって、彼の本名を名乗った。すると、おかみさんは、近頃評判の名探偵の名をよく知っていたので、スラスラと話が運んだ。
そのおかみさんは付近の仕出し屋の主婦であった。お膳を運ぶ先というのは、つい四、五日前からふさがった小さな借家で、あんまりひどいあばら家なのと、裏は塀ひとえで「花やしき」の動物小屋だし、両隣はどっかの物置き場になっていて、なんとなく気味のわるい場所だものだから、長いあいだ借り手がつかなかったというのである。
借り手は独身ものの立派な紳士であったが、おかみさんのところから三度の食事を運ぶこと、うちに人がいようといまいと、必ず一定の場所へお膳を置いて帰ること、決して台所から中へはいってはならぬことなどを固く約束して、一か月分の前金を支払った。しかし、現在住んでいるのは、今もいうとおり、決してその紳士ではないというのであった。