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にんげんひょう
人間豹
江戸川 乱歩
「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年1~2月、5月~1935(昭和10)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 155,989 字 · 311 页
そして、重い墓石の下に埋められているんじゃないか。
だが、そのうちに、だんだん意識がハッキリしてくるにつれて、事の次第が判明した。あまりにもみじめな現在の立場が明らかとなった。
明智小五郎ともあろうものが、からだじゅうをグルグル巻きに縛られて、その上固い猿ぐつわをはめられて、あかりもない暗黒の部屋の中にころがされているのだということが、ハッキリとわかった。
眼をこらしてじっと見つめていると、やがて、闇の中にも少しずつ濃淡ができてきて、ボンヤリと物の形が見分けられるようになった。たぶん昼間彼が昏倒した部屋であろう、家具も何もない六畳ほどの畳敷きだ。ズーッと見て行くと、隣の部屋との境に、何か生きもののけはいがした。呼吸をしている。かすかにうごめくのが感じられる。
突如として、そのものが、押えつけられたような声で、かすかにうめくのが聞こえた……人間だ。誰かが自由を失って倒れているのに違いない。
だが、たちまち事の次第がわかった、ああ、そうだった。ここには神谷青年が縛られて監禁されていたのだ。昼間、思いもかけぬ神谷の姿に、ふと気を取られていた隙に、あの一撃をくらって、そのまま昏倒してしまったのに違いない。