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にんげんひょう
人間豹
江戸川 乱歩
「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年1~2月、5月~1935(昭和10)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 155,989 字 · 311 页
まばらに立ち並ぶ街燈、並木のあいだにチラチラ見える一軒家、その駄菓子屋らしい藁葺きの一軒家までたどりつくと、彼はいきなりガタピシと障子をあけて、そこの土間へのめりこんだ。
このことが土地の警察署に伝わり、数名の警官が、やや気力を回復した神谷を案内に立てて森の中の怪屋に向かうまでには、かなりの時間が経過した。そして、彼らが手に手に懐中電燈をかざして、街道から抜け道を伝い、雑木林を抜け出たとき、先頭に立つ神谷が、何を見つけたのか、ハッと立ちすくんでしまった。
「どうしたんだ、君、何かいるのか」
警官の一人がどなった。彼らも怪人の話を聞いて、この捕物を少なからず無気味に思っていたのだ。
「あれ、あれをごらんなさい。あの火はいったいなんでしょう」
神谷の言葉に彼方を眺めると、いかにも、森の中の怪屋のあたりとおぼしく、一団の火焔が、大きな狐火のようにメラメラと燃えている。
「おや、火事じゃないか」
「ウン、そうだ。おい君、君が逃げ出す時に、シャツやなんかに火をつけてきたと言ったね。それが燃えひろがったんじゃないか」
警官が口々に言う。
「いや、そんなはずはありませんよ。