轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
にんげんひょう
人間豹
江戸川 乱歩
「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年1~2月、5月~1935(昭和10)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 155,989 字 · 311 页
た森の中には、なんの怪しいけはいもなかった。
かくして、恩田父子は、殺人罪目撃者に逃げ出された窮余の一策、わが巣窟に火をかけて、あらゆる罪跡を湮滅し、いずれともなく姿を消してしまったのだ。
彼らが処罰を恐れて姿をくらましたことは言うまでもない。だが、いかに処罰を恐れたからといって、あの血に飢えた獣人が、これ限りその爪牙を隠して一生を終ることができるであろうか。いや、それよりも、彼らの大切な巣窟を焼かしめ、彼らの犯罪をその筋に告げ知らせた神谷に対する怨恨を、果たして忘れ去ることができるであろうか。一匹の野獣を失ったばかりに、平然と弘子の命を断った彼らだ。それに比べては幾層倍のこの恨み、ただ単純に神谷の生命を狙うだけで満足しようとは考えられぬではないか。
神谷は果たして安全でいることができるであろうか。たとえ彼自身の生命は安全であっても、何かしらそれ以上に彼を苦しめ悩ますようなことが起こりはしないであろうか。
また神谷のがわからいえば、恩田父子は、憎んでも憎み足りない仇敵であった。彼は、草の根を分けても彼らを探し出し、この恨みをはらしたいと願った。
深讐綿々たる対立、ああ、彼らの行く手には、果たしてどのような運命が待ち構えていたことであろう。