轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

のぶこ

伸子

宮本 百合子

「改造」1924(大正13)年9月号~1926(大正15)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 232,543 字 · 466 页

青空文庫

それでがっかりするくらいなら、あなたみたいに、初めっから蜃気楼なんか見ないようなたちの方が、かえっていいかもしれない」

床に入ってから、和一郎は伸子も知っているある娘について、彼女の意見を訊いた。伸子はなぜともなく、彼の興味が今はその少女にあることを覚った。彼女は、少し返事に困った。彼女の印象によると、その令嬢は、さっき和一郎が話した、派手な色どりの空気ばかりみたいな少女でない代り、鮮やかな、愛らしいところもない、つまり、平凡すぎる生れつきに思えていたのだ。隣室に電燈をつけてあるので、薄明りが境の欄間から天井にだけさしていた。

「どうって……ごくあたりまえじゃあないこと……だけれど私、自分がそれでいい加減いやな思いをさせられたから、かれこれ云うのいやだ」

それにつけても伸子は考えた。自分と佃との交渉が始まってから、何と沢山、反佃の言葉をきかされたことだろう。云う人々の目的は、自分に佃を断念させたいためであったろうが、事実はそうならなかった。逆に作用した。彼女は万一和一郎に恋愛問題が起ったら、せめて自分だけは、本当に何等かの言葉が彼から求められるまで、よき沈黙を守りたいと思った。